はじめに
こんにちは、草津会計士blogです。
いきなりですが、皆さんは今のNHKに不満はありますか?
今年7月には「NHKから国民を守る党」が参議院の議席を獲得しました。これは、今のNHKに対する国民の不満が高まっていることの表れと言えるでしょう。
それでは、国民のどれくらいの割合の人々がNHKに対して不満を感じているのでしょうか?
意外なことにNHKが実施している世論調査にその回答に近いものがありましたので、今回ご紹介したいと思います。
NHKの世論調査の結果
直近の世論調査の結果
NHKは経営指標と定めた14項目について、半期ごとに世論調査を実施して業務報告書で公表しています。この世論調査は直近では 2019年1月に実施されていて、その結果は次の通りです。

赤い棒の上にある数値を見ると、それぞれの項目について「実現している」と「どちらかというと実現している」と回答した人の割合(実現度)を確認することができます。「①公平・公正」の76.1%、「③多角的論点の提示」の77.8%など高い数値もいくつかありますが、そんな中で際立って実現度が低い項目が2つあります。
- ⑬受信料制度の理解促進・・・31.5%
- ⑭受信料の公平負担 ・・・30.0%
このように、「受信料制度の理解促進」と「受信料の公平負担」に関して、実現できていると考えている人はおよそ3割しかいません。これは普通に考えて低すぎますよね。
逆に言えば、およそ7割の人が「受信料制度の理解促進」と「受信料の公平負担」が実現できていると考えていないということになります。
世論調査の数値の推移
「受信料制度の理解促進」と「受信料の公平負担」の実現度がこの8年間でどのように変化しているかをグラフにすると、次のようになります。

元から30%前半と低い数値でしたが、ここ8年でさらに減少しているのがお分かり頂けるかと思います。
世論調査の結果から何が分かるか
この世論調査の結果からどのようなことが言えるのでしょうか。
アンケート結果の詳細は公表されていないため、「受信料制度の理解促進」と「受信料の公平負担」に詳しい説明が付されていたのか、「どちらでもない」という選択肢があったのかなどは分かりません。しかし、少なくともこれらの割合は過半数を超えていなければ、公共放送について国民の理解を得られているとは言えないでしょう。
世論調査の結果でこのように過半数を大きく下回っている状況は、NHKの受信料制度は国民の支持を得ていないということになるのではないでしょうか。さらに、ここ数年で改善どころか悪化していることも重大な問題です。NHKは国民からの受信料により支えられているのですから、NHKはこの結果を重く受け止め早急に改善をする必要があるでしょう。
NHKの取り組み
それでは、この「受信料の公平負担」と「受信料制度の理解促進」に対して、NHKはどのように取り組んでいるのでしょうか。
「受信料の公平負担」のための取り組み


受信料の公平負担の徹底に向けた営業改革の一層の促進として、 NHKの経営計画の中で上記の施策を公表しています。要約すると、訪問活動や文書送付によって受信料を払う対象を増やすことで、きちんと払っている人への不公平感をなくそうと考えているようです。
しかし、それだけで受信料の公平負担を解消するための取り組みとして十分と言えるのでしょうか。実現できていないと答えた7割の人の中には、「NHKを見ていないのに見ている人と同じ受信料を払わされるのは不公平だ」とか、「住んでいるマンションにBSアンテナが設置されているだけで衛星受信料を払わされるのは不公平だ」と考えている方も一定数いるのではないでしょうか。
「受信料制度の理解促進」のための取り組み

公共放送・受信料制度への理解促進として、 NHKの経営計画の中では上記のような施策を発表しています。要約すると、放送や展示、イベントでPR活動を行うことで受信料制度への理解を促進していこうと考えているようです。
この施策を見ると、NHKが一方的に国民に理解させるという考えが鮮明に表れているようです。受信料制度が十分に理解されていないという世論がこれだけ多数を占めているのですから、PRが足りないのではなく、受信料制度そのものが国民の理解が得られていないと捉えるべきでしょう。NHKが世論に対応するための歩み寄りの姿勢を見せずに、国民に一方的に理解しろというのは無理があるでしょう。
おわりに
このように、今回は受信料制度に関する世論調査の結果をまとめました。
受信料制度というのは国民から半強制的にお金を徴収する制度ですから、国民の理解を得るのが容易ではないことは分かります。しかしNHKがもっと国民の声を真摯に受け止め、それに対応する姿勢を見せていれば、実現度が3割という結果にはならなかったのではないでしょうか。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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