NHKに関する最高裁判決についてまとめる【契約義務・ワンセグ・東横イン・時効】

NHKの制度改正を考える
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はじめに

こんにちは、草津会計士blog(@kkblog731)です。

今回は、NHKを巡る裁判において、司法(裁判所)がどのような判断をしているかをまとめました。最も重要と考えられる契約の義務を認めた最高裁判決から、ワンセグ裁判、東横イン裁判などについても、判例へのリンクを調べてまとめています。

なお、黄色い枠内に主な争点と裁判所の判断を要約しています。ただし、これは判決文のうち重要と思われる部分を当ブログで抽出し要約したものです。したがって、法文上の正しい文言を使用しているかの保証はできませんし、全ての争点を網羅的に記載しているわけでもありません。あくまでも、誰でも分かりやすく読んで頂くための参考情報という風にご理解頂けますと幸いです。

放送受信料請求事件(時効)

裁判所の判断:受信料の消滅時効期間は、民放169条により5年である。

事件番号 平成25(受)2024
事件名 放送受信料請求事件
裁判年月日 平成26年9月5日
裁判所名・部 最高裁判所第二小法廷
URL http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=84446

受信契約締結承諾等請求事件(契約の義務)

争点:放送法64条1項は受信契約の締結を強制する規定ではなく、訓示規定に過ぎないのではないか。

裁判所の判断:放送法64条1項は受信契約の締結を強制する規定である。また、裁判所の判決があれば受信契約が成立する。

争点:放送法64条1項が受信契約の締結を強制する規定であれば、契約の自由、知る権利、財産権等を侵害するため、憲法違反ではないか。

裁判所の判断:放送法の目的からすれば、放送法64条1項は憲法違反ではない。

事件番号 平成26(オ)1130
事件名 受信契約締結承諾等請求事件
裁判年月日 平成29年12月6日
裁判所名・部 最高裁判所大法廷
URL http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=87281

放送受信料請求事件(定期金債権)

争点:民法168条1項の定期権債権は、20年間請求されなければ時効により消滅する。受信料はこれに該当するのではないか。

裁判所の判断:受信料は定期権債権だが、定期権債権の消滅時効の適用はされない。

事件番号 平成29(受)2212
事件名 放送受信料請求事件
裁判年月日 平成30年7月17日
裁判所名・部 最高裁判所第三小法廷
URL http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=87877

事件名不明(ワンセグ裁判)

争点:放送法では受信設備を「設置」した場合の契約義務が定められている。ワンセグ携帯は一定の場所に「設置」していないのだから、契約義務はないのではないか。

裁判所の判断:ワンセグ携帯を所有していれば、契約義務の対象になる。

争点:放送法では「放送の受信を目的としない受信設備」に該当すれば契約義務はないとされている。ワンセグ携帯を持っているのが放送の受信を目的としていないのであれば、それに該当するのではないか。

裁判所の判断:ワンセグ携帯が客観的に放送を目的としないものと認めることはできないから、「放送の受信を目的としない受信設備」には該当しない。

いわゆる「ワンセグ裁判」に関して、最高裁判所の判例集には掲載されていないようです。

以下の記事によると、ワンセグを巡る訴訟は5件起こされ、そのうち1件については最高裁第3小法廷が2019年3月に上告を退ける決定をしたとのことです。

「ワンセグ携帯も義務」確定=NHK受信契約、上告退ける-最高裁:時事ドットコム

参考のため、そのうち1件の高等裁判所の判例を載せておきます。

事件番号 平成28(ネ)4426
事件名
裁判年月日 平成30年3月26日
裁判所名・部 東京高等裁判所
URL http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail4?id=87694

放送受信料支払等請求事件(東横イン)

この裁判は「受信契約締結承諾等請求事件(契約の義務)」と並行して進んでおり、主な争点は類似のものと考えられます。

いわゆる「東横イン裁判」に関しては、最高裁判所の判例集には掲載されていないようです。

以下の記事によると、最高裁第二小法廷が2019年7月に東横インの上告を退ける決定をし、東横イン側に約19億3500万円の支払いを命じた二審判決が確定したとのことです。

東横インの敗訴確定 NHK受信料19億円支払いの判決:朝日新聞デジタル

参考のため、高等裁判所と地方裁判所の判例を載せておきます。

事件番号 平成24(ワ)21480
事件名 放送受信料支払等請求事件
裁判年月日 平成29年3月29日
裁判所名・部 東京地方裁判所
URL http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail4?id=86844
事件番号 平成29(ネ)1993
事件名 放送受信料支払等請求事件
裁判年月日 平成30年9月20日
裁判所名・部 東京高等裁判所
URL http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail4?id=88050

おわりに

今回は、NHKを巡る裁判所の判例についてまとめてみました。

余裕があれば、それぞれの判決について深く考察してみたいと思います。

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