はじめに
こんにちは、草津会計士blog(@kkblog731)です。
このブログでは、スクランブル放送の実施、民営化、分社化などが国民にどのような影響を与えるのかを考察してきました。
しかし、これらはどれも抜本的な改革であるため、文字通り「NHKをぶっ壊す」ことになりかねないものです。したがって、このような改革を実現しようとすると、NHK関係者やNHKの番組に親しんでいる国民からの大きな反発が予想されます。また、地上放送も含めて契約の自由を認めることは、実質的には公共放送の在り方を見直すことが必要なため、全国民を巻き込んだ議論が必要だと考えられます。このように、NHKの抜本的な制度改革には高いハードルがあるものと考えられます。
そこで今回は、「NHKをぶっ壊さない」で最大限に「国民を守る」ためには、どのような施策があるのかを考えてみました。
以下では、「公共放送を行うNHK」の存在を残しつつ、私たち国民がNHKに対して抱いている不満を解消することができる4つの方法をまとめました。また、この方法が実現すれば、受信料の月額や集金人被害など、国民生活にがどのような影響があると予想されるかについても考察しています。
これらの方法が最善かどうかはわかりませんが、ご参考にして頂ければ幸いです。
NHKをぶっ壊さずに国民を守るための4つの方法
NHKをぶっ壊さずに国民を守るための方法は以下の4つです。
- 衛星放送の民営化または事業廃止
- 集金制度の廃止
- 消費税の不課税
- 娯楽番組の広告許可
1.衛星放送の事業廃止または民営化
衛星放送は、もはや「見たい人が見ればいい」という状況になっていることは疑いないと思います。解決手段としてスクランブル化は一つの手ですが、そもそもスクランブル化で事業が成り立つのかを見極めてからでなければ、一気に崩壊に向かうでしょう。それに、スクランブル化するのであれば公共放送を担うNHKが実施することは相応しくありません。
そのため、まずは一定の猶予期間をおいて衛星放送の収益性を改善することに努めさせ、もし利益が出せるなら民営化、利益が出せないなら事業廃止とすべきだと考えられます。
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2.集金制度の廃止
現在の集金制度は、受信料収入の11%という多額の費用がかかる上、国民と集金人との争いを生む温床になっています。そのような多大なコストを払っても、支払率は82%に留まっています。公共放送を行っている他国では、電気料金との一括収納や税金としての強制徴収を行うことにより総収入の3%のコストで95%の支払率を達成することができています。他国の制度をうまく取り入れることで、不要なコストと不毛な争いをなくすことができると考えられます。
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3.消費税の不課税
「負担金」である受信料は、本来は消費税の課税の条件を満たさないため不課税と考えられます。しかし、政策的な観点から、法律ではなく内閣が制定することのできる施行令により、受信料に課税ができる規定になっています。このような法の趣旨に反する消費税の徴収は認められるべきではないため、施行令を改正することにより受信料は不課税とすべきであると考えられます。
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4.娯楽番組の広告許可
地上派でも、スポーツやドラマなどの娯楽番組が数多く放送されています。これらの番組に広告を導入すれば一定の広告収入を見込むことができ、国民の受信料負担を減らすことができます。娯楽番組であればスポンサーや視聴率にある程度影響されることは許容できますし、娯楽番組を見る人と見ない人の不公平感も減らすことができます。一方、これを実現するには放送法の枠組みを大きく変えなければいけないので、実現のためのハードルは高いといえるでしょう。
4つの政策を導入すると、どのような影響があるか
これらの政策を導入すると、国民の負担額とそれ以外の影響はどのようになるでしょうか。
1.衛星放送の事業廃止または民営化
衛星放送の事業が廃止または民営化されることにより、衛星契約は廃止され地上契約に一本化されます。
2.集金制度の廃止
集金制度を廃止することにより、回収コストと支払率が次のように改善された場合には、国民の受信料負担額は21%減少します。
- 回収コスト以外 : 89 → 89
- 回収コスト : 11 → 3
- 費用総額 :100 → 92 (8%減少)
- 支払率 :82% → 95%
- 受信料負担 :122 → 97 (21%減少)
3.消費税の不課税
受信料が不課税になれば、国民の受信料負担額はおよそ9%減少します。
4.娯楽番組の広告許可
地上放送の50%が広告を許可され、費用の半分を広告収入により補うことができれば、国民の受信料負担額は25%減少します。
- 広告NG : 50% → 50%
- 広告OK : 50% → 25% (費用の半分を広告により補う)
- 受信料負担 : 100% → 75% (25%減少)
おわりに
上記の1~4をまとめると、次のようになります。分かりやすくするために単純に足しているだけなので厳密に計算すると結果は変わりますが、そこまで大きな影響はないでしょう。
- 衛星放送の廃止、または民営化による契約自由化
- 地上契約受信料55%減少(月額1310円→月額590円)
- 娯楽番組にCMがつく
- 集金制度の廃止
それぞれには既得権益の存在や法制度上の課題があり、簡単にはいかないとは思います。それでも、公共放送を消滅させるのと比べれば抵抗は少ないものと思います。公共放送が存続する上でこの結果なのであれば、国民の多くが受け入れることができるのかもしれません。
最後までお読みいただきましてありがとうございました。
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