はじめに
こんにちは。公認会計士の草津です。
今回は、NHK職員の給料について調べてみました。
NHK職員の平均給与は、民間の放送会社に比べて高すぎるのか?それともあまり変わらないのか?それでは見ていきましょう。
平均年収ランキングから見る民放との比較
平均年収ランキングというのを、インターネットや雑誌などで目にすることがあるかと思います。プレジデントが発表している以下のランキングが有名でしょうか。
これは、上場会社が有価証券報告書の従業員の状況で開示しているデータを集計したものです。
上記サイトで2019年度はまだ作成されていないようでしたので、民間の放送業界のテレビ会社5社について集計してみました。
また、NHKについては公表数値がないため、以前の記事で算定した数値を平均給与とします。
こうしてみると、NHKが1075万円であるのに対して民放各社は1168万円~1586万円となっており、NHKが最も低い結果となっています。
ということは、NHKは民間の放送会社に比べて給料が安いということが言えるのでしょうか。
平均給与ランキングは全く意味がない
実は、上記の平均給与の比較は全く意味がありません。
なぜかというと、民放の平均給与というのは持株会社である親会社単体の従業員についての情報であるため、企業グループ全体のうちごく一部の社員のみしか対象になっていないためです。
以下の表をご覧ください
さきほどの表の右に列を追加し、連結従業員数と、連結従業員のうち平均年間給与の開示の対象になっている従業員数の割合を示したものです。
フジテレビを例にすると、従業員数27人に対して連結従業員数7493人と、その割合はなんと0.4%です。つまり、フジテレビの企業グループは7493人の従業員を抱えていますが、平均年間給与はそのうちの27人(0.4%)の平均を開示しているに過ぎないのです。
持株会社(ホールディングス)というのは、その名の通り企業グループの株式を保有している会社です。そして、持株会社の業務は、一般的に子会社の管理業務や企業戦略の策定などが挙げられます。つまり、これらの従業員は放送関連の業務を行っている従業員ではないということになります。
唯一、テレビ朝日ホールディングスが開示しているのは、持株会社ではなく子会社の㈱テレビ朝日の情報です。そのため、連結全体の24.8%とそれなりに大きなカバレッジにはなっているようです。それでも全体の4分の1ですので、比較したところであまり意味はないでしょう。
おわりに
このように、公開されているテレビ局の平均給与を比較しても、実態を正しく表しているとはいえません。企業グループ全体の平均給与の情報は開示対象になっていないため、均一な基準で比較するというのは難しそうです。
就活生の方などは平均年収ランキングを参考にしている方もいるかと思いますが、このような情報を参照する際にはデータの情報源や作成方法をよく確認した上で判断することが大切です。
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