はじめに
皆さんのお支払いしているNHK受信料ですが、そのうち約1割は回収すると同時に消えていると聞いたらどう感じるでしょうか。
実は、NHK受信料の約1割は、受信料回収のための費用として使われているのです。
今回は、受信料の回収コストについて、直近の金額および率、他国との比較、税金との比較、コストが高い理由を調べてみました。
営業経費とは?
NHKでは、受信料の回収等に伴う費用を「営業経費」と呼んでいます。
この営業経費には、集金人に支払う費用や、銀行やクレジット会社に支払う手数料、入金処理等の事務手数料などが含まれているようです。
以下のグラフは、営業経費と営業経費率(受信料収入に対する営業経費の割合)の推移を示したものです。
出典:平成31年度 収支予算、事業計画及び資金計画の説明資料P28より
営業経費の金額は、平成31年度予算では770億円となっています。受信料収入の予算額が7,032億円ですので、受信料収入に対する営業経費の割合(営業経費率)は10.9%となります。
つまり、受信料収入の約1割が受信料を回収するために使われているということになります。
皆さんはこの割合を見てどのように感じますか?
何となく、高すぎると思われる方がほとんどなのではないかと思います。
他国との比較は?
公共放送を実施している国は他にも存在していますが、それらの国と比較するとどうなのでしょうか。
NHK受信料制度等検討委員会が、海外の公共放送とNHKの営業経費率を比較しています。
結果は以下の通り、イギリス、フランス、ドイツ、韓国と比べて日本の営業経費率が極めて高い状況となっています。他国では、受信料の支払いを住民税や電気料金などと一括して徴収していることが、その一因のようです。
出典:NHK受信料制度等検討委員会 第3回会合説明資料P25より
税金との比較は?
近年では、受信料は税金として一括徴収すべしとの議論もあります。
放送の公共性などの議論は置いておいて、仮に受信料を税金と一緒に回収した場合にはどうなるのかを考えてみましょう。
以下の表は、国の徴税コスト(100円の税金を回収するためにかかった費用)を表したものです。平成29年度の徴税コストは1.24円となっています。
出典:平成29事務年度国税庁実績評価書 一括版P17 より
もし仮に、NHKの集金コストが現在の10.9%から1.2%となった場合、およそ680億円の営業経費の削減が可能となります。経費が削減できれば受信料を値下げすることが可能ですので、受信料は9%程度の値下げができる計算になります。
以下の記事でも、NHKがここ10数年間で事業規模を拡大していなかった場合16%の受信料値下げが可能であったという分析をしましたが、それと合わせるとかなり大幅な減少幅となりそうです。

なぜNHKの集金コストが高い?
ここまで集金コストが高いのか、それはもちろん集金人を使ったNHKの回収方法によるものでしょう。
実際に第6回のNHK受信料制度等検討委員会においては、「営業経費のうち、訪問活動にかかる委託費・人件費を中心とする「制度維持経費」が、約60%を占める状況にある」と説明されています。これは、受信料に対する割合にすると約6%という数字です。
通常のビジネスであれば、料金を支払わない場合はサービスを停止するという対応を取ります。
一方で、NHKの場合、受信料を払わない人に対しては集金人が自宅を訪ねる方法を取っているので、人件費や交通費などの経費がかかります。
実際、自宅まで回収に来るのはNHKの集金人か闇金の回収業者くらいのものではないでしょうか。
まとめ
- 受信料を回収するためのコストは約10%、そのうち約6%は集金人に対する委託費・人件費等に使われている。
スクランブル化や、税金との一括徴収など、考えられる手段はいくつかありますが、何とかしてこの集金コストを減らして、受信料の値下げにつなげて欲しいところですね。
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