はじめに
皆さんが毎月支払っている(払ってない人もいる)NHKの受信料ですが、高すぎると不満に感じることはないでしょうか。
民間のサービスは、設定料金が高すぎると売れないので、「どのくらいの料金であれば顧客に受け入れてもらえるか」、「利益を求めるにはどのくらいの料金設定が適切か」という点を考慮して料金を設定しています。しかし、NHKの場合は、受信料の額が高いからといって契約を打ち切ることはできません。なので、受信料の額がきちんと決まっているかというのは重要ですよね。
その受信料について、①誰が、どのようにして決めているのか、②今年の受信料はいくらか、についてまとめました。
受信料の額はどのように決まっているのか
まず、NHKホームページの「よくある質問集」に以下のように回答されています。つまり、NHKは毎年の受信料をいくらにするかを決定し、国会がそれを承認する形となっているようです。
NHKは毎事業年度の収支予算、事業計画および資金計画を作成し、総務大臣に提出します。総務大臣は、これに意見をつけ、内閣を経て国会に提出します。国会では衆参両院の総務委員会での審議を経て、予算を承認するか否かを決定します。受信料の月額は、この収支予算に盛り込まれています。
毎年度の受信料の月額は、このように、収支予算の国会承認によって決まることになっています。
法律上の根拠は以下の放送法第70条に規定されているようです。
放送法第七十条 協会は、毎事業年度の収支予算、事業計画及び資金計画を作成し、総務大臣に提出しなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
2 総務大臣が前項の収支予算、事業計画及び資金計画を受理したときは、これを検討して意見を付し、内閣を経て国会に提出し、その承認を受けなければならない。
3 前項の収支予算、事業計画及び資金計画に同項の規定によりこれを変更すべき旨の意見が付してあるときは、国会の委員会は、協会の意見を徴するものとする。
4 第六十四条第一項本文の規定により契約を締結した者から徴収する受信料の月額は、国会が、第一項の収支予算を承認することによつて、定める。
2019年度の受信料の額について
NHKの予算
それでは今年の受信料について、実際に順を追って確認してみましょう。
2019年度の受信料は、以下のNHKホームページで確認できます。
NHK INFORMATION「平成31年度収支予算、事業計画及び資金計画」
これによると、地上契約のみで継続振込の場合の月額料は1,310円(消費税込)となっています。これは、平成30年度の月額料と同額となっています。ただし、「2019年10月からの消費税率引き上げに際して、受信料額の改定を行いません」としており、実質的には2%程度の値下げとなっています(※NHK受信料は軽減税率の適用なしのため)。
(「平成31(2019)年度 収支予算と事業計画の説明資料P8」より抜粋)
国会の承認
国会では2019年3月に「放送法七十条第二項の規定に基づき、承認を求めるの兼」という議案が総務委員会に提出され、承認されているようです。以下のリンク先では、実際にどのような議論がされているかを見ることができます。
第198回国会 総務委員会 第9号(平成31年3月14日(木曜日))
第198回国会 総務委員会 第10号(平成31年3月19日(火曜日))
ここでは、参考人招致としてNHK会長の上田氏が出席しており、受信料について以下のように述べています。
「基本的には、公共放送、公共メディアとして、収支相償というのが大原則でありますけれども、収支相償というのは、中長期的な収支の見通しを踏まえた上で収支相償というのを達成していきたいと考えておりまして、今回、受信料の値下げ、還元に踏み切りましたけれども、将来的にも、また中長期的な見通しを立てながら、しっかりと原則の収支相償というのを踏まえて対応してまいりたい、こういうふうに考えております。」
つまり、NHKは利益を獲得することを目的とする会社ではないので、受信料による収入と支出(会社が支払ったコスト)が釣り合うようにするというのが大原則と考えているということでしょう。
まとめ
- 毎年のNHK受信料は、NHKが予算を作成し、それを国が承認している。
- 今年(2019年度)の受信料月額(地上契約・継続振込)は1,310円に決定した。
このような仕組みだと、NHKが自ら費用削減をして受信料を引き下げるという方向にはなりにくいと感じます(コストが下がれば受信料も下げなければいけないため、予算いっぱいに使った方がメリットになる)。
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